学校だより

校長

子どものちいちゃんは、お父さんから「かげおくり」を教えてもらいました。

「かげおくり」とは、10数える間地面の影を見つめて、すぐに空を見上げると影法師(残像)が空に映って見える遊びです。

翌日、体の弱いお父さんは戦争に行ってしまいました。

ちいちゃんは毎日、かげおくりをして遊んでいましたが、戦争が激しくなって次々に戦闘機が飛んでくるようになりました。

ちいちゃんの楽しい遊び場の空は、怖いものに変わってしまいました。

ある日の夜に、激しい空襲が起きました。

風が熱くなり、炎の渦が追いかけてきました。

ちいちゃんは逃げる途中でお母さんとお兄ちゃんとはぐれてしまい、一人ぼっちになってしまいました。

一人ぼっちのちいちゃんは防空壕で寂しく一晩寝ました。

やがて朝になって、ちいちゃんがかげおくりをして空を見上げると、4つの影がありました。

一面の空の色。ちいちゃんは、空色の花畑の中に立っていました。

ここは、空の上よと、ちいちゃんは思いました。

そのとき、向こうから、お父さんとお母さんとお兄ちゃんが、笑いながら歩いてくるのが見えました。

ちいちゃんは、きらきら笑いながら、花畑の中を走り出しました。

夏の初めのある朝、こうして、小さな女の子の命が、空に消えました。

小学3年生が学習している「ちいちゃんのかげおくり」のあらすじです。

戦争を題材にしている作品です。物語の至る所に、戦争の悲惨な様子が書かれています。

「空に吸い込まれ、花畑の中で家族と会えたちいちゃんは幸せだろうか」、

先生も子どもたちも一緒になって考えます。

子どもたちから見た幸せ、不幸せと、ちいちゃんの目線からの幸せ、不幸せがあります。子どもたちは、その根拠となる言葉を本文から必死に探します。

やがて、子どもたちは、ちいちゃんの置かれた状況が悪くなる一方で、ちいちゃんは、そのことに気付くことなく、だんだんと幸せを感じるようになる。

そのずれを悲しいと感じるようになります。

読みは、言葉に出会わなければ深まりません。

でも、一人で深めることは簡単なことではありません。

どれだけ読んでも気付かないことは多いです。

そういうとき、仲間の考えを聴いて、はっと気付くことがあります。

だれもがはっきりしてなかったことが、仲間といろいろと話し合ううちに気付くこともあります。

読むことは、一人一人の作業です。

最終的には、自分はどう読むのかに行き着くのですが、

仲間と共に読み合うということは、言葉との出会いを豊かにするうえで欠かせないことだと思います。

それは、それぞれの子どもが互いの読みを聴き合いながら、自らの読みを探り続ける学びになるからです。

深まりゆく秋です。本を読み、たくさんの言葉と出会いましょう。

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