学校だより

校長

小学5年生の国語の授業。「枕草子」でした。枕草子は、平安時代中期、清少納言(せい しょうなごん)により執筆された日本最初の随筆です。

清少納言は、一条天皇の中宮定子に993年頃から1000年頃までとして仕え、本名は清原 諾子(きよはら の なぎこ)とされています。

保護者の皆さんも、

『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。』を、学生時代に暗唱された方も多いのではないでしょうか。

授業では、

「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。」

の現代語訳をみんなで考え、秋の夕暮れの様子を味わいました。

どうして、古典を勉強するのでしょうか。日本の文化や伝統について関心を深める契機にもなると、よく言われています。私は、日本語のもつ美しさ、巧みさを味わうことだと思います。

『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。』

NHKの語学番組では、この英語訳を次のように紹介していました。

For spring, it is the dawn that is most beautiful.

The skies on top of mountains become lighter and lighter with the rising of the sun.

The long thin clouds that turn light purple are a sight to be enjoyed, too.

49文字の日本語。40語の英文。言語の特徴がよく出ています。

英文を通して、原文を読むのも、日本語を味わう手法になると思いました。

「冬はつとめて」では、その特徴がよく分かります。

「冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりて、わろし。」

現代文では、

「冬は早朝。雪が降り積もっているのはもちろん、霜が真っ白に降りているのも、またそうでなくても、はりつめたように寒い朝、火などを大急ぎでおこして炭火を部屋から部屋へ運んでまわるのも、いかにも冬の朝らしい。昼になってだんだん寒さが緩むと火鉢の炭火も白く灰をかぶってしまって間の抜けた感じだ。」となります。

英文の訳は、

“For winter, it is the early morning that is most beautiful.

It is beautiful when snow has fallen during the night.

But splendid too when the ground is white with the frost.

But even when there is no snow or frost, the cold makes you feel that it is a winter morning.

People rush to start a fire on those chilly mornings.

Then they run from room to room carrying hot charcoal for the stoves.

It’s all very winter like.

But the morning cold starts to disappear around noon then you find that the charcoal in the stoves has turned into white ashes

that looks a little foolish.”

英文のリズムの良さと相まって、クリスマスシーズンの幸せな忙しさのような情景を思い浮かべます。早朝に宮中で忙しく働く人々の衣擦れの音まで聞こえてきそうな様子が感じ取れます。清少納言の研ぎ澄まされた感性は、余すところなく作品に投影されています。

今から一千年以上も前に書かれた日本の古典が、こんなに親近感あふれるものであったことに驚きます。

日本では、第3波とみられる感染の広がりが警戒されています。新規感染者の過去最多となる道府県が増えています。バンクーバーの皆様、どうかご自愛ください。

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