人生の礎「読書力」

 読書は、単なる知識の獲得を超えて、心を耕し人生を深める営みであると言えます。幼いころから本に親しむことで、子どもたちは自然に語彙を増やし、言葉の感覚を磨いていきます。読書を重ねるうちに、文章の構造を理解する力や、人の心情に思いを寄せる力が培われます。思考力や想像力と併せ、他者への理解や共感といった豊かな人間性の基盤となる力を育まれます。

 国や文化を越えて人と人がつながり合う時代だからこそ、多様な価値観に触れ、自分とは異なる背景をもつ他者を理解する姿勢が求められます。読書はその最初の一歩を確かに後押ししてくれます。

 私たち大人もまた、子どもたちと共に本に親しみ、その可能性を感じながら、読書のある日常を大切にしていきたいものです。刺激ばかりがあふれるSNSの海に漂い、AIが選んだ情報ばかりに囲まれていては、自分の頭で深く思考する力は育ちません。だからこそ、読書という営みを手放してはならないと強く思います。