学校だより
校長
2月1日から国内の首都圏の私立中学校、公立中高一貫校の入学試験が始まりました。関西圏は1月16日に始まりました。入学試験の問題もずいぶんと様変わりしています。入学試験の基本方針が出されている学校もあります。これは、都立の中高一貫校の出題方針で、生徒に求められる力は次の能力です。
〇文章の内容を的確に読み取ったり、自分の考えを論理的かつ適切に表現したりする力。
〇資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、論理的に考察・処理する力、的確に表現する力。
〇身近な事象を通して、分析力や思考力、判断力などを生かして、課題を総合的に解決できる力。
問題を見ると、資料が多く、時間内に読み込まなければなりません。また、課題に対して自分の考えを論理的に表現できなければなりません。私が受験の時(昭和)は、知識を求められました。いわゆる暗記がものをいった時代でした。このような学力観に基づいた試験は、大学入試までつながっています。
以下は、小学6年生が受験する、ある都立中高一貫校の帰国子女枠の問題です。
【問 題 (Question)】
<日本語による作文>
異文化理解を深めるためにあなたが本中学校で何を学びたいか、これまでの自分の経験をふくめて、具体的に501字以上600字以内で述べなさい。ただし、資料1を読み、あなたが考えたことや感じたことと、資料2で分かった内容を含めること。
資料1 新聞に掲載されたある中学生の意見
「多文化共生」に向けた一歩 新聞 2018 年 3 月 16 日 東京版(山形県天童市)
グローバル化が進み、山形のまちでも外国人をよく見かけるようになった。これからの時代は、外国人と共生していくために「異文化理解」が大切だ。しかし、いきなり異なる文化を理解しようとするのは難しいかもしれない。だから私は小さなことから変えていきたいと思う。
私の祖母は本来、明るい色の派手な服装が好きだ。しかし実際には、暗い色の服装をしている周りのおばあちゃんたちに合わせて派手な服装を遠慮している。日本人は、他人に合わせて自分の個性を制限している人が多いのではないか。しかし、一人一人が個性を表現し、互いにその個性をその人の良さとして認め合える風潮をつくっていくことで、今よりも過ごしやすい世の中になると思う。
そういう環境で外国人を受け入れていくことで、「多文化共生」も可能になる。私はその実現の一歩として、祖母から「この服派手かな?」と聞かれたら、「すてきだよ」と答えようと思っている。
資料2 都民生活に関する世論調査(平成30年11月) 東京都生活文化局より
あなたが東京に暮らす外国人と関わるに当たり、壁になっていると感じるものはありますか。この中から3つまでお答えください。
言葉の違い 63.8%
文化・生活習慣・価値観の違い 54.2%
外国人と関わる機会がない 31%
外国人への苦手意識 16.6%
壁になっているものはない 10.8%
その他 1.1%
わからない 2.7%
小学6年生として、異文化理解ということに自分自身の考えをもっていなければならない。また、その経験もしていなければならない。多文化共生、価値観の多様性に対しての一般論も理解していなければならない。日本の現在のギャップも考えて、現実的に論を構築していかなければならない。時間は45分間で、600字の作文表現。海外の子女に求めているものは、かなり高いレベルのものだということが分かります。(以下、次週)