学校だより 12月5日

学校だより

校長

先週、ようやく、バンクーバーに到着いたしました。ここに至るまで、学校運営委員会、総領事館の皆様のたくさんのご尽力をいただきました。この場をお借りして、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

児童生徒の皆さん、保護者の皆様、あらためて、よろしくお願いいたします。

14日間の隔離生活で、部屋から出られず、窓の外の風景を眺める毎日です。出国前の東京は日ごとに感染者が増え、感染拡大が毎日報じられてきました。バンクーバーでも道を歩く人の数が、とても少ないような気がしています。

学校は3学期もオンラインでの学習支援を行うこととなりました。当初と比べて、授業のスタイルに変化が出てきました。教材の提示の仕方を工夫したり、子どもたち同士が話し合いを行って、意見を発表し合ったりする場面も増えてきました。まだまだ、手探りの状態ですが、さらに工夫や改善をしていきたいと考えます。

早いもので、もう師走を迎えました。どうか、体調に気をつけてお過ごしください。

学校だより 11月21日

学校だより

校長

オンライン学習で、子どもたちのグループ討議が多く行われるようになってきました。中学部ではすでにグループの話し合いを授業の柱の1つにしています。小学部でも自分の意見や考えを発表する。友達の意見に耳を傾ける。1つの意見としてまとめる。これらの活動を授業の中で行うことが増えてきました。(ZOOMではブレイクアウトルームと呼ばれている)アプリの拡張機能を使い、少人数で、与えられた時間で話し合いを行っています。しかし、子どもたちは自分の考えや意見を一生懸命伝えているのですが、話し合いの活発さが出てきません。

何か原因があるのでしょうか。

「ためして ガッテン!」というNHKの番組をご存知でしょうか。先日の放送で興味深い謎解きが出てきました。

ビデオ通話は、パソコンやスマートフォンを使い、離れた人たちと映像や音声で簡単につながることができる便利なコミュニケーションの方法です。しかし、なぜか「議論が深まらない」「盛り上がらない」といった声があります。

実はその大きな原因の1つが、ビデオ通話を行うパソコンなどの構造にありました。それは「画面」と「カメラ」が違う位置にあること。相手の姿を見ようと「画面」を見ると「カメラ」が見られず、互いの目線が合わないのです。このことによって、コミュニケーションにおいて大事な2つのものが失われていることが分かりました。

1つ目は「うなずき」。相手に同意を伝えたり、会話のタイミングをはかったりする仕草です。目線が合わずアイコンタクトができないと、ビデオ通話ではうなずきの数が大きく減ることが実験で分かりました。2つ目は「ジェスチャー」。私たちが頭の中で言葉を探したり、流暢にしゃべったりすることを、実は手などの動きが助けていたのです。これも、相手のジェスチャーが見えなかったり目線が合わなかったりすると、自然と少なくなってしまうのです。

そんなビデオ通話の弱点を解決するユニークな方法がある大学で行われていました。それは会議や通話の中に、会話をちゃんと聞いて心からうなずく、「うなずき担当」を1人でも設けること。ビデオ通話では、ついついうなずくのを忘れがちですが、1人がきちんとうなずくだけで他の人がうなずくようになったり、会議に参加している全体の人たちの一体感が増すように感じられたりするのだそうです。実際にある会社で試してみると、社内会議の議論の質が深まったり、みんなの参加感が増したりしたという報告があるそうです。うなずき担当は、相手の話をちゃんと聞いて、心を込めてうなずくことがポイントです。

いかがでしょうか。うなずきながら聞く。ご家庭では普段の会話に、オンラインでは友達の話にうなずくことをお互いが始めていけば、話が深まり、盛り上がることは間違いないそうです。

授業中、カメラをオフにして参加している子がいるんですと、先生方から残念な報告が上がってきます。先生も大変心配になります。カメラをオンにして、友達や先生の話に大きくうなずいて、自分の考えや意見は、ジェスチャーを交えてカメラを見ながら発表してみましょう。せっかくのオンライン、全集中で取り組みましょう。オンライン学習は、一人一人の参加が基本です。

私事ですが、バンクーバー総領事館や学校運営委員会の皆様のおかげで、ようやくバンクーバーに渡航することが決まりました。まもなく出発します。その後の隔離や生活が落ち着きましたら、学校だよりを再開させていただきます。それまでしばらく休ませていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

学校だより 11月14日

学校だより

校長

小学5年生の国語の授業。「枕草子」でした。枕草子は、平安時代中期、清少納言(せい しょうなごん)により執筆された日本最初の随筆です。

清少納言は、一条天皇の中宮定子に993年頃から1000年頃までとして仕え、本名は清原 諾子(きよはら の なぎこ)とされています。

保護者の皆さんも、

『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。』を、学生時代に暗唱された方も多いのではないでしょうか。

授業では、

「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。」

の現代語訳をみんなで考え、秋の夕暮れの様子を味わいました。

どうして、古典を勉強するのでしょうか。日本の文化や伝統について関心を深める契機にもなると、よく言われています。私は、日本語のもつ美しさ、巧みさを味わうことだと思います。

『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。』

NHKの語学番組では、この英語訳を次のように紹介していました。

For spring, it is the dawn that is most beautiful.

The skies on top of mountains become lighter and lighter with the rising of the sun.

The long thin clouds that turn light purple are a sight to be enjoyed, too.

49文字の日本語。40語の英文。言語の特徴がよく出ています。

英文を通して、原文を読むのも、日本語を味わう手法になると思いました。

「冬はつとめて」では、その特徴がよく分かります。

「冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりて、わろし。」

現代文では、

「冬は早朝。雪が降り積もっているのはもちろん、霜が真っ白に降りているのも、またそうでなくても、はりつめたように寒い朝、火などを大急ぎでおこして炭火を部屋から部屋へ運んでまわるのも、いかにも冬の朝らしい。昼になってだんだん寒さが緩むと火鉢の炭火も白く灰をかぶってしまって間の抜けた感じだ。」となります。

英文の訳は、

“For winter, it is the early morning that is most beautiful.

It is beautiful when snow has fallen during the night.

But splendid too when the ground is white with the frost.

But even when there is no snow or frost, the cold makes you feel that it is a winter morning.

People rush to start a fire on those chilly mornings.

Then they run from room to room carrying hot charcoal for the stoves.

It’s all very winter like.

But the morning cold starts to disappear around noon then you find that the charcoal in the stoves has turned into white ashes

that looks a little foolish.”

英文のリズムの良さと相まって、クリスマスシーズンの幸せな忙しさのような情景を思い浮かべます。早朝に宮中で忙しく働く人々の衣擦れの音まで聞こえてきそうな様子が感じ取れます。清少納言の研ぎ澄まされた感性は、余すところなく作品に投影されています。

今から一千年以上も前に書かれた日本の古典が、こんなに親近感あふれるものであったことに驚きます。

日本では、第3波とみられる感染の広がりが警戒されています。新規感染者の過去最多となる道府県が増えています。バンクーバーの皆様、どうかご自愛ください。